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ここでは、主な技法による雲の表現を見てみましょう。
一番上は、チョプタンによる表現です。小さな点の集積が見事なグラデーションを作ります。本格的なタンカでは、通常、このような表現がとられます。
しかし、「ツーリストグレード」と呼ばれるタンカの中には、この手間のかかる工程を省略して他の技法に代えたものや、同じチョプタンでも、明らかに手を抜かれたものがでてきます。
ニ番目のものは、同じチョプタンでもかなり手が抜かれているのが解かると思います。空のグラデーションの幅と緻密さ、雲のグラデーションの粗雑さ。これらが、「ツーリストグレード」と呼ばれて、本来のタンカとは異質の「タンカ紛い」を市場に供給し、しかも、その量では主流をしめてしまっているというのが現状です。
三番目の雲は、ロンムダンという2色の絵具による画面上での混合で生まれたボカシ技法によります。
一見、美しい色彩とグラデーションを併せ持っています。しかし、比較的簡単にできてしまうこの技法をとること自体、宗教画としてのタンカでは本来のものではないといいます。
そんな点で、ロンムダンによるタンカは、チョプタンによるタンカよりもステージが低いと見なされます。しかし、大型のタンカでは、制作期間の要請など状況によりこの技法が使われるのも、全て絵師の判断に任されるところであり、否定されるべき技法ではありません。
一番下は、カンムダンという重色によるボカシ技法による雲です。下色を塗っておき、乾いてから別の色を塗り重ねて2色のボカシを作ります。
これは、明らかに量産を狙ったグレードの作品に多用され、見るからに貧相です。この例の場合、空もチョプタンが使われず、ロンムマッタライというベタ塗りの技法が用いられているのが解かります。
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