ネパール雑感
 川 柳 

尾藤 一泉(びとう いっせん/絵具研究家・川柳家)

 
  玄奘を慕う求道の飯茶碗

神様が人より多い貧しさよ

犬痩せて痩せて確かに生きている

ひょいひょいと避ける神様 犬の糞

あてもなく歩けば神の眼は三つ

知らぬ街 ついて来るのは影法師

カーストの臭いを問わぬ蝿の足

はにかんだナマステ電気なき笑顔

月細く異国にひとつ絵具皿

ニッポンのココロが届くe‐メール

民族の糸がほぐれぬ交差点

マニ車クルクルクルと人が寄る

仏像の微笑に風は止んでいる

公平に陽は廻り行く夜の寒さ

神様に押されて道が伸びていく

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この文章は『川柳公論』第141および142号に連載されたものの採録です。