タンカは、古くチベットでは「タングー」と呼ばれ、ネパールでは「ボゥワ」と呼ばれていましたが、現在では統一して「タンカ
Thanka」と呼ばれます。
タンカは、チベット文化圏(中国チベット自治区、ネパール、ブータン、モンゴル、北インド方面)で作られる布に描かれた宗教画です。
西チベットでは、ふつう白亜と動物の膠によって地塗りされた綿織物に描かれ、掛け軸のように表装されて飾られます。顔料は伝統的な鉱物からのものと、染料から作られたものを使います。
タンカは、インドからチベットへ伝播した晩期密教がその地に根付き、チベット文化圏で発達した独特の宗教画です。
チベットのタンカの伝統は、インドによって生み出されました。また、中国人は、自然の具象化をチベット人に教えました。チベット人は、これらのふたつの大きい影響を受け、絵画の表情がより豊かなスタイルを生み出しました。

ネパール カントリーサイドの葬儀 祭壇
タンカは、一般に寺院や屋内の祭壇に掛けられます。それらは、信仰の対象として祈りの時に使われます。大型のタンカは、例年のセレモニーの時に広げられ、修道院の壁などに掛けられます。また、巡礼者は、守護尊のタンカを巻いて旅行に携帯しました。このことは、広大な大陸を横断して様式を広めるのに役立ったと考えられます。これらは、芸術品としてではなく信仰の什物として扱われます。豊富な図像学的イメージそのものが、宗教の実践のための神聖な道具となるのです。

バルド・トドルを読む僧侶と背後のタンカ

お祭りにおける大タンカの開帳
しかし今日、ネパールのタンカショップのほとんどでは、伝統的技術を駆使した本格的な制作はされず、お土産品として手を抜いた安価なまがい物が店を占領しています。
昨年、たまたま寄ったタンカショップで、クマール・ラマというタンカ絵師に出会う事ができました。彼は、今日のタンカが技術的にも精神的にもレベル低下の状態にあり、彼が学んできた伝統的な「伝承技術」がしだいに失われることを危惧していました。
現在のタンカへの需要のほとんどが外国人向けのお土産で、特にツーリストにとっては、多少手を抜いても充分エキゾチシズムを満たす「タンカ」を作ることができるので、本格的な修行をしてタンカを描く絵師は減り、外国人相手に金を稼ぐための絵描きが多くなってしまったということなのです。
本当の「タンカ」が知りたい、という求めに、クマール・ラマ師は、
「いつでもいらっしゃい。材料から製作技術まで全てを教えてあげよう」
と、快く受け入れてくれたのです。
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