絵具ができるまで 

  

 <手練りする場合> 

 ここでは、絵具を手で作る場合の材料と工程を油絵具を例にとって見ていきましょう。 

 原
 料
 と
 用
 具
原 料: 顔料、乾性油、体質顔料
用 具: ナイフ(顔料と油を混ぜ合わせる)、 練り台、 練り棒(練り合わせる時に使う)、チューブ(絵具を保存する)

 絵具の基本構成である色素には顔料を使用し、バインダーとして乾性油を用いるのが油絵具です。補助的な材料として体質顔料* を加える場合もあります。          
 計 

 量

 顔料とバインダーの比率は、工業製品としての絵具では精密な計量のもとに管理されますが、手で絵具を練る場合には逐次供給による混合が行われます。正確に計ったのでは、 練り具合により絵具の状態が変わってしまいます。
 適量の顔料を練り板(大理石板)にのせ、 少量のバインダーを加えながらパレットナイフで混ぜ合わせます。硬いケーキ状になるようバインダーは最小量で抑えます。
 練
 り

 合
 わ
 せ
 @

混合


 顔料とバインダーをペインティングナイフで混ぜ合わせます。粉が残らないように丁寧に作業します。

注意:有害性のある顔料を使う場合には、マスク、保護手袋等の保護具を使用します。この段階がもっとも飛散しやすい状態になります。

 練
 り
 合
 わ
 せ
 A
分散


 顔料とバインダーを混ぜただけでは絵具になりません。顔料とバインダーをなじませるため、練り棒を用いてさらに強力に混ぜ合わせ、十分に分散させていきます。はじめ光沢のなかった絵具は、しだいに艶を帯びるようになり、滑らかさを増します。  粉っぽい部分が完全になくなるまでこの作業を続けます。顔料の種類と量にもよりますが、通常はチューブ2本分程度で30分前後で練り上がります。
 絵
 具
 の
 調
 整
 
調整


 体質顔料は、油絵具に切れと可塑性を与え、 特に印象派以降の近代的表現に向く絵肌を作ります。大量に加えると、絵具の着色力が抑えられた発色の悪い絵具になってしまいます。 練り上がった顔料と油の具に少量の体質顔料を加えて、再び練り合わせます。
 チ
 ュ
 |
 ブ
 詰
 油絵具は空気中の酸素を吸って乾燥してしまいます。
長く保存するためには、密閉性のある容器が用いられます。通常は、必要量ずつ出すのに便利な金属チ
ューブが用いられます。
 練り上がった絵具は、パレットナイフでチ ューブの尻(開口)部から絵具を詰めます。  内部に空気が入らないようにチューブを絞り尻を折り返して密閉します。

 完
 成



注:練りあげたばかりの油絵具は、顔料と油のなじみが不十分である場合が多く、通常は熟成を行います。チューブに詰めてから、1か月程度置いておくと、伸びのある絵具になります。また、練り合わせ時に過剰であったバインダーの油は、分離しはじめます。
 使用に際しては、余分な油を紙などで吸い取るか、絵具に混ぜ込んで使います。

  

メ モ

 古いタイプの油絵具には、体質顔料のような材料での調整は行われませんでした。チューブが発明され、絵具の生産者とアーティストの分業が確立された段階で、チューブ絵具は独自の性格を持ち始めました。特にイギリスの絵具メーカーがターナーなどの指導を受けてチューブ絵具を作り上げていった過程で、古典的な透明技法に適する油絵具というよりも、チューブから出されてそのままマティエールが生かせる絵具へと変貌したようです。  

    

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