テンペラ・ミスタ (tempera mista) 

 



 初期の油絵具は、透明性に富んでいたもののボディー感が希薄であったことは当時の作品からうかがえます。
 イタリアではテンペラが部分的に彩色として使用されたのに対しフランドルでは、
テンペラ絵具と油絵具の互層として絵が構成されました。
 テンペラによる下絵に油絵具のグラッシがのり、またテンペラ絵具による描起こしを行い、さらに油絵具のグラッシを重ねると言う工程を数度重ねて、テンペラと油絵具特長を 生かした幅の広い表現を可能にしました。
 この油絵具との併用技法は、フランドル技法から改良されつつ今日まで行われています。
 バインダーの処方例は、つぎのような内容です。 

 全卵    1個分(通常サイズでは50ml)
 油性分*  卵と等量 (約50ml)
 水     適量使う時点で適した濃度に薄めます。

<テンペラミスタの特質>

・水に溶けて、乾くと水に侵されない。
・比較的速乾性である。水分の蒸発により見かけの乾燥をする。
・卵黄テンペラよりも絵具の伸びが自由でぼかしやグレーズも可能。
・卵黄テンペラよりも堅牢である。
・油成分の混合比により(50%以上100 %未満)油絵具との併用が可能となる。
・未乾燥の油絵具層上に水性の含油テンペラ絵具が弾かずにのる。細密描写や顔料の発色を生かした技法ができる。
・卵黄テンペラよりもやや明度に欠ける。

 よく混ぜ合わせた上記のバインダーに水で練り合わせた顔料を1:1程度に混ぜ合わせると卵黄テンペラの絵具ができます。顔料によりバインダーの量は多少異なります。
 石膏地に塗られた卵黄テンペラ絵具は、明るく不透明な発色をします。絵具にはあまり伸びがなく、彩色は通常ハッチングとよばれる線描の積み重ねで表現されます。絵具の伸びの欠如は、表現自体を生硬にする傾向があります。
 油性分を調節する(7〜15ml前後)ことで顔料の発色を明るくすることも濡れ色にすることもできるので、作家の表現に合わせて幅広い効果が得られます。

メディウムの作り方

1.卵を二つに割り白みとカラザを取り除いて黄みの成分をビーカーにとるのは卵黄テンペラと同じ。

2.黄みの量の50〜70%前後の油性分を加えます。
  (油性分 ダンマルバニス : 2 スタンドオイル : 1)

3.はじめは静かにしだいに強く卵黄と油成分を混ぜ合わせ ます。 混ざるにつれて、粘りのあるマヨネーズ状の糊ができます。

 卵黄に油性分を加え、強く掻き回してマヨネーズ状のペーストを作ります。次に、少量ずつ水を加えて攪拌し、バインダーの硬さを調製します。水の全量を一度に加えてしまうと、水と油性分が分離して均質なエマルションになりにくくなります。

テンペラミスタの絵具を作る

1.溶き皿に顔料を必要量とり、水を滴下し馴染ませます。指で練るように混ぜ合せます。

2.次に、卵メジウムを適量(普通は水練りした顔料と等量)加え指でしっかりと練りあわせます

3.描く時に、水を加えて絵具の濃度を調節します。

制作例

 画像をクリックすると制作段階が見られます。

    

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