既製テンペラ絵具構成 

 工業的テンペラ絵具は、英国のラウニーというメーカーのみで作られています。
 工業的とわざわざ冠したのは、テンペラ絵具の処方はさまざまで、一概に決めつけることのできない多様性があるからです。
 この場合のテンペラ絵具は、19世紀英国で行われていたテンペラグラッサに良く似た処方が取り入れられています。自作のテンペラ絵具に比べ、安定性を付与する材料が含まれている分、濃度が薄く感じられます。
 「Rowney エッグテンペラ」
 現在の工業的テンペラ絵具の中には、次のような原料が含まれています。
                 

 

原料名

目的

 

 

顕色材

顔料

色を出す

無機顔料*2、有機顔料

 

体質顔料

顕色補助(分離防止・濃度調節) 

炭酸カルシウム、硫酸バリウム

 

バインダー

定着剤

糊 材 (色を固定し膜をつくる)

卵黄+リンシードオイル

 

分散剤

安定化 (顔料と糊をなじませる)

界面活性剤 など

 

湿潤剤

水との相性向上、乾燥性調節

グリセリン、界面活性剤

 

増粘剤

絵具状態の安定

界面活性剤 など

 

防腐剤

長期保存

 

 

その他安定剤

消泡、PH調整など

界面活性剤、グリコールエーテル など

 

 

練り合わせ溶剤として

 

    *2:すべての無機顔料が使用されるわけではない。使えないものも多い。
               

顔料(がんりょう)
 顔料については、油絵具の項目を参照。
 自家製のテンペラ絵具では、酢などを補助剤として加えるため、極端に耐酸性の悪い顔料は使えません。ただし、水との安定性の悪い顔料でも、作ってすぐに使ってしまう場合には、何の問題も起きないといえます。
 工業的テンペラ絵具では、体質顔料をうまく用いて、この問題を解決しています。自家製のテンペラ絵具より濃度感が無いことは、便利さの裏腹として否めません。

ビヒクル(展色剤)
 工業的テンペラ絵具のビヒクルは、テンペラグラッサの処方に良く似ています。卵黄を倍剤としてて使われます。エマルジョンという点や乾燥後に耐水性になるといった性質はテンペラ絵具に似ています。
 油性分が含まれていながら、水に溶ける絵具は、卵黄を媒介としたエマルジョンとしての性質です。卵黄に対し、油性分はほぼ等量含まれています。
 

補助材料
 チューブ絵具では、安定化のための補助材料が多く添加されています。自家製のテンペラ絵具に比べ、やや弱い発色なのはそのためです。

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