文京川柳会 12月例会

平成21年12月16日    文京区民センターにて

 第8回の教室は、「忘年句会」ということで、一年間の成果を句会形式で楽しみました。
 句会は、初代川柳没後の川柳界を継承して発展・維持してきた川柳発表の姿で、今日でも多くの句会に引き継がれ、楽しまれています。
 文京川柳会では、講義と課題演習を中心に作句を学んできましたが、今月は、講義なしの実作による腕試し。
 選者となった浦田会長、
昭邑副会長と晏ねさんには、開会前に特別講義。選者の大切さと心構え、選句の基礎、披講の方法などを伝授。さてさて、いかがなりますでしょうか。

「ざくざく」 尾藤 一泉選
 <三才>
足で聴き耳で踏むよな霜柱  枇杷子
鉈切りの大根漬けを蕪笑う   栄 七
ざくざくと政治献金玉手箱   あさじ
<五客>
ブル稼動小判掘る音二十四時  枇杷子
ざくざくの野菜主役に鍋奉行   牛 歩
潮干狩り蛤混じる大漁旗     枇杷子
荷物背ひただひたすらに砂利の道 雅子
ここ掘れワン陶片ばかり古窯跡  昭 邑
<前抜>
桁違い小遣いをやる鳩の母    あさじ
ざくざくと切ってことことやわらか煮 団 扇
シロップを待てずにすくう露店先  つぼみ
初霜の踏む音冴える寒稽古    みその
「仕分」では埋蔵金が掘り出され 牛 歩
退職金次から次へ天下り     あさじ
いつ見ても北の行軍安オモチャ 三 川
軍靴鳴る学徒出陣雨の中     昭 邑
切りすぎたキャベツと一緒に苦笑い 晏ね
野菜きる包丁の音小気味よく   敏 子

「交代」 堤 晏ね 選
 <三才>
次の芽に命託して落葉す    三 川
ガソリンが電池に代わり星が見え  栄 七
年の瀬やモウ出番だとトラに告げ  雅 子
<五客>
高座ではおあと交代囃子鳴り   みその
野党慣れなかなかできぬ元与党 文泉
政権の交代「密約」炙り出し    牛 歩
政権が代わって変わる裏の道   三 川
米中が中米になりドルが泣く   栄 七
<前抜>
零時過ぎ終わらぬ今日に迫る今日 枇杷子
各界の世代交代無常感      三 川
交代で新型かかる子沢山     あさじ
孫を抱く順をジャンケンポンで決め 団 扇
「交代」で嘘の官僚眠れない   牛 歩
川柳が思考の角度変えたよう  牛 歩
交代で国がよくなりゃ何度でも  あさじ
繰り返す権力必腐ヒトゲノム   昭 邑
リリーフに代打代走また代打  団 扇
美しい国が敗れて友愛の国   昭 邑
 交替で赤子抱えて夜光虫  晏 ね

「時事吟」 西村 昭邑選
 <三才>
密室に風を通した仕分け人   雅 子
出てってと優しく言えば済む話 団 扇
目に見えぬウイルス核もマスクする 晏 ね
<五客>
凧上げる親を横目に塾通い    みその
普天間が袋小路で伏魔殿     つぼみ
核抜きと言ってみただけ平和賞 晏 ね
仕分け人闇の総理に仕分けられ 三 川
信長の末裔五輪の切符手に   栄 七
<前抜>
無垢な子ら何を違えて殺人鬼   三 川
「仕分け」では「文化」「科学」も袈裟懸けに 牛 歩
天神も呆れる絵馬の誤字当て字  みその
連立が右に左に基地はどこ    文 泉
ああ君も鳩もやっぱり金まみれ  文 泉
戦争が何故必要か平和賞     あさじ
迷走がまた始まった孫総理    三 川
密約で叫びが消され重い基地   敏 子
やきとりに続けホルモン三ツ星へ ふくよ
強い円「輸出産業」押し下げて  牛 歩
流行語大賞逃した「トラスト・ミー」 昭 邑

「溶ける」  浦田 栄七選
 <三才>
お日様は根雪も溶かす武器を持ち  雅 子
角砂糖溶けるはがゆき初デイト     みその
あっためて溶けてゆらゆらなごり恋   ふくよ
<五客>
シロクマも困っているよ氷溶け      あさじ
雪溶けを待ちわびている拉致家族   あさじ
清張で謎とけ、そして目がうるむ   文 泉
淡雪の解けて早春待ちどおし      みその
熱燗でチビチビ溶けていく左脳    団 扇
<前抜>
いさかいも年輪重ね穏やかに    敏 子
人型の山の残雪フイと消え      牛 歩
愛してね心身ともに溶けるまで     あさじ
雪どけはいつになるやらやんばダム さちこ
氷溶け明日また凍る二番底     三 川
泥酔でネオンに溶ける連れの人   三 川
枯れた葉に初雪降りてスイと消え  牛 歩
春到来 雪といっしょに溶ける恋   文 泉
わだかまりとけて今宵の美味い酒   みその
仲直りバタートーストよい香り      枇杷子
今朝の雪 溶け出す前の雪見酒  栄 七

コメント:初めての句会形式で初めての選者を経験した方も。
 1年の成果ははっきりしたもので、4題の課題に対するそれぞれの作句は、十七音の形式に言いたい内容を盛る技術を身につけ、いよいよ表現とは何かという新しいテーマに手をかけるところまできました。中には、すでに自分自身を表現するすべを知らぬ間に見出し、句会作品にもそれが出ているものも見られます。
 初めての3人の選者はみな立派でした。わたしの最初の選の緊張を思い出させるような場面もありましたが、それぞれの選者が集まった句と真剣に向き合い、自分の中の価値観、経験を総動員して句に格付け、序列を示しました。このたびの選をする行為自体も文京川柳会の学習の一貫ですが、1年という短い(または長い)期間を継続することにより、何がなせるのかを見た気がします。
 同会場で行われた忘年会では、一年間の想い出や楽しかったことが語られ、ゲームを楽しみました。とてもよい会がもて、新しい川柳の芽がしっかりと地に付いたと感じました。幹事のみなさま、連絡や準備などありがとうございました。
 来年は、二年目の新しい展開が待っていることでしょう。

2010年1月例会案内