文京川柳会 9月例会

平成21年9月16日    文京区民センターにて

 第4回の教室は、十五代目川柳の脇屋先生に「川柳を楽しむ」というテーマでお話をいただき、柳多留初編の中から古川柳5句をひも解いて勉強しました。
 当時の衣装や風俗を盛り込んだ内容の濃いお話で、知識欲を刺激されました。詳しい衣装の話をうかがうと、当時の人間の着物姿が目に浮かび、より句が具体的に、身近に感じられました。

「叫ぶ」     脇屋川柳選

 <秀 逸>
「おまたせ!」と分娩台の第一声

 <佳作>
なななんと議事堂にあった居住権 
痩せたいと気を遣うのにあと一歩 
叫ぶことなくて声帯経を読む 
いつの間に空が見えなくビルが建ち
官邸は阿鼻叫喚の夢の跡 
ポツポツとシミの数だけ悲鳴あげ 
ゴキブリを目ざとくみつけキャー 
お腹の子式をあげてと叫んでる 
叫んでも笑って返す 母の顔 
叫ぶ術教科に無くて忘れた子 
「ヤッホー」が分解されて不時着し

 


つぼみ


牛 歩
敏 子
ふくよ
敏 子
栄 七
つぼみ
ち よ
あさじ
さちこ
枇杷子
つぼみ


 十五代目脇屋川柳氏の披講


川柳選秀逸で直筆色紙を
いただき喜ぶつぼみさん。

@ 五番目は同じ作でも江戸産   にぎやかな事 にぎやかな事
  足立宰相が、行基に阿弥陀仏を七体つくってもらった。1)豊島町、2)足立区江北橋、3)西ヶ原、4)田端、5)池之端、6)亀戸、7)足立区扇に安置された。後の江戸時代になってから、5番目だけは江戸っ子だ、といわれた話。

A 腰帯を〆ると腰は生きてくる   ぶんな物なり ぶんな物なり
 江戸の世では、娘は1人ではひんぱんには出歩かなかった。「腰が生きてくる」には、そのめったにない外出の機会に、不安と期待を感じる娘の気持ちが現れている。「ぶんな物なり」というのは、分相応だ、という意味。
 川柳先生一口メモ:江戸では帯〆はなかった。腰帯は外出するとき帯が落ちないように必ず締めていた。また帯の位置は、(現在より下の位置である)お腹周りにしめていた。かんざし 及び 帯は、男性からの視線をよけるものであった。
B 役人の子はにぎにぎを能覚    うんのよい事 うんのよい事
 初代川柳は、今で言う公務員であった。行政側の風刺をするわけがないはず。これは、賄賂を皮肉っているのではなく、「うらやましい」という気持ちがこめられている。
C 帯解は濃おしろひのぬりはじめ  あんまりな事 あんまりな事
 7歳の女の子を指している。7歳は、少女から大人になっていく第一歩。いい意味の色気がでてきている。
 川柳先生一口メモ:昔は、女性の着物の八つ口(わきの下)から、男性がラブレターを入れた。
 帯解は男を尻のひきはじめ、なんていう句もある。

D 寝て居ても 団扇のうごく親心  すわりこそすれ すわりこそすれ
 母親は添い寝しているわけではない。母親は、夏の夜、視線を気にして寝ずに座っていた。なぜかと言うと、木綿の生地を、綿入れ→あわせ→一重→、と季節ごとに針仕事をして使っていたため、繰り返すうち、長い着物が短くなっていった。また、母親といってもまだ17、8歳。江戸時代は下着は身につけていなかったこともあり、母親は子供と添い寝をすることを避けていたのだろう。

最後に、9月の季節にまつわるお話
 9月9日は5節句のひとつ「菊の節句」。この日は、江戸在住の大名らが将軍にご挨拶に行く日でもある。役職によって、すれ違わないよう、挨拶の順番なども厳密に考えられていた。いまでいう大手町付近である大名小路は大混雑であった。この菊の節句には、女性たちや文人を中心に、菊合わせが盛んにおこなわれていた。
一茶の俳句より「勝った菊 大名小路 通りけり」

互選 「爪」

E点 マニキュアの赤が気になる参観日 

D点 一人旅 爪弾き三味に箸止まり 
C点 見舞う息子に「来たか」と掴む母の爪  

B点 猫の爪 畳に落ちて夏おわる  
B点 爪噛んで育った君はソクラテス 
B点 爪を噛む母思うたび「ダメ」の顔 
B点  病床に爪の伸びまで弱々し 
B点 子を預け爪にも化粧夜の蝶 

A点  課題作できずにじっと爪を見る 
A点  爪絵柄こづかいかけてより綺麗 
A点  猫好きは引っ掻き傷も自慢する 
A点  つかれたな じっとながめる爪の先 
A点 爪先に染み入るような親心 
A点  爪跡を残した女俺育て 

みその

みその
牛 歩

よ し
晏 ね
好 舟
みその
あさじ

三 川
 秀
昭 邑
文 泉
団 扇
 秀

まともすぎる。素直すぎるのが長所でもあり短所

材料が多すぎ、整理するとよい。爪弾き→静かな、とよくなる
共感する方が多かった。

象徴した現象。作者の思いが素直に伝わっている
難しいという意見が多かったが、一泉先生としてはわかりやすい句。
区切る所で句の意味が変わる。「ダメ」説明してしまったのがよくない
「弱々し」は説明になってしまった
言葉の選び方をもっと考えましょう。預け→託しの方がベター

啄木のような繊細さ感じる
作者のポイントは「こづかい」。「手間ひまかけて」など動く句。
「猫好きは」の「は」を「の」に変えるとよい。断定しない
説明が邪魔にならない。何のてらいもレトリックもない繊細な句。
欠点のない句。できすぎで面白くない
この句も区切り方により、意味が変わってしまう

川柳先生のコメント:創作活動は、一人一人の個性である。指導者は創作するまでの過程で、材料を与えるだけである。自主性が大事である。「うまい話をたくさん聴きなさい」そうすることで、自然と体に入ってくる。自然に積み重ねられていき、気がつくと周りが明るくなってきた、という状況になる。

第5回例会