短 冊 ギャラリー

咳一ツきこえぬ中を天皇旗

剣花坊

御貴殿はぶたれ拙者は投げられる

剣花坊

転がったとこに住みつく石一つ

鶴子

    もう一人の川柳中興の祖・井上剣花坊の短冊。初期(大正期)の「咳き一つ」は硬く生真面目な表現だが、昭和期の「御貴殿」の短冊では、柳樽寺の大和尚としての風格がみられる。特に剣花坊の書名の伸びやかさが、その自信の大きさを垣間見せてくれる。
 鶴子(大石)は、剣花坊の長女。後の柳樽寺川柳会代表。この句は、第1回全日本川柳大会での第一席で、「一」という題での特選。この時、鶴子という作家が剣花坊の娘であることを知っている川柳家は殆んどおらず、衝撃的な登場でもあった。

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